【東日本大震災】僕の町がバズった日
僕の町がバズった日
3/12 震災の翌日の話
僕が所属していた消防団の消防庫は津波の直撃を受けて機能しなくなっていた。
消防庫の立地場所がちょうど津波の被害を受けてる地域とそうでない地域との境目だったので消防車を失った僕達の役目はこの先が通行出来ない事の旨を被害があった方向へ進むドライバーに伝える事だった
いわゆる交通整理ですね
消防団といっても団員もほぼ被災しているわけで自宅の片付けがある団員は交代で作業していました。
僕が自宅の様子を見て戻ってくるとさっきまで敬語でドライバーに説明していた団員がブチ切れている。
ボンネットをバンバン叩きながら『帰れよ!!!!』ってドライバーに掴みかかりそうな勢いで迫ってる。
その団員いわくテレビなどで自分達の町が被災したのを知って見に来たクソ野郎どもだったとの事
もちろん地元の人だったら地区の名前を聞いて通していました
震災の翌日なのでボランティアを受け入れる準備もまだ出来ていないはずだし
普段、僕の町は穏やかでよそからやって来るのはサーファーか釣り人くらい。未曾有の大地震があった翌日に娯楽目当てで来る人はいない
それなのに僕達のやっている検問所は渋滞が出来ている…
皆見たことのない顔ばかり
その目には『この先どうなってんの?』っていう好奇心があきらかに見て取れる
『この先には瓦礫と途方に暮れてる人達がいるけど見たい?』
追い返すドライバーと同乗者に何回も心の中で問いかけた
延々と続くこの作業。
僕は違う場所で同じ作業をしていた同級生に『そっちはどう?』って聞いた。
『どーもこーもねーよ!!キリがねー!!!』彼の言葉である
彼は分団長(近隣町内の消防のリーダー)だったのだが
やってる作業はただの野次馬にこちらは通り抜け出来ませんのでUターンして下さい。と伝えるのみ
なぜ消防団員がこんなクソ野次馬野郎どもの為に時間を浪費しなければいけないのか
僕達の分団だけでもこの交通整理さえなければもっと出来た作業があるはずなのに‥
もちろんこの交通整理も大事な作業ですが。
野次馬がいなきゃ最低限の人数でこなせたはずなんですよね
日本人は時折、秩序のしっかりしてる人種であると言われる。
自分も日本人としてうれしい事である
災害時の略奪や強盗の件数も他の国と比べてみれば少ないのかもしれない
でもただの好奇心は犯罪ではないにせよ人害なのだとぼくはこの時感じました
熊本地震の時、避難所の前でTBSの生放送でキレたおじさんが話題になりました。
この事に関しては正直複雑な気分になりました
メディアがないと被災地の現状がわからないのも確かだしインタビューされてるボランティアの人だってこんな炎上事態になるとは思ってもなかったでしょうしね
ただ被災地は見世物じゃないって事は真実に間違いないです。
こんな炎上やバズが二度と起こる事がないよう願うのみです